![YUKIGUNI [独房の惑星 -The galaxy in a cell-] 発売記念インタビュー . Vol.03](img/int-head03.jpg)
--さて、『The galaxy in a cell-独房の惑星-』というアルバムタイトルですが、歌詞の部分ではどんなコンセプトがあったんでしょうか。
MAMORU 簡単に言えば、1曲が一人の人生、みたいな感じになっているんですよ。曲それぞれが人生の中のワンシーンを切り抜いたものになっていて。人生には悲しいことや辛いこと、楽しいこと、いろいろありますが、ここでは特に悲しいことを題材にしていて。それで《囚われの身》というような表現をしたんですよね。
--どうして悲しいことにフォーカスを当てたんでしょうかね。
MAMORU それはオレ自身、悲しいことに対して敏感なところがあって。裏返せば、楽しいことにも敏感なんですけれども。要は、落ちやすいタイプなんですよね。もしかしたら、悲しいものが好きなのかもしれないです。SIONさんとか、ああいうブルージーな音楽が大好きで。ああいう歌詞にグッとくるんですよね。
--MAMORUさん自身、今の世の中を悲惨な状況だとか、過酷な状況だと考えている?
MAMORU 考えています。──これはちょっと面倒くさい話なんですけど、「人間が死を選んだ」という考えに基づいているんですよ。「死を選んだ」というのはどういうことかというと、大昔の生物はミトコンドリアみたいに細胞分裂しながら存在していたわけですよね。だけど、人間は誰かと誰かがセックスすることによって世代を受け継いでいる──つまり、死ぬことを選んだという考え方なんです。それと同時に悲しみも増えていったという。で、人間がそれを選んだのは、実は地球がそうさせたんじゃないかと。それで、「オレたちは地球の中に囚われている」っていう。その話の前提で、地球の中に生きている人の人生の一部分を歌詞にしました。それは自分が思っていることでもあるんですけどね。
--地球という超越した存在が、ぼくらの細胞レベルの運命から感情までを操っていると。
MAMORU そういう感じです。
--すごい話ですね(笑)。それはMAMORUさん独自のお考えなんですか?
MAMORU えっとね、やしきたかじんのテレビ番組「たかじんのそこまで言って委員会」でやっていました。
一同 ワハハハハ!!
--コンセプトはそうとして、中には《生き地獄》というフレーズも出てきますし、MAMORUさん自身、生きづらさを感じているということですよね。
MAMORU う〜ん、生きづらさはあんまりないかもしれないですね。むしろ、生きやすいと思っています。どちらかといえば、余計な苦しみが多すぎる、というか。世の中には事件や事故だったりが多いじゃないですか。
--ではコンセプトありきで、世の中の悲惨な出来事や過酷な状況を収集したということですか。
MAMORU そうですね。オレ自身は今、結婚して子供もいて幸せに思っているんですけど。でもやっぱり幸せなことばかりではないし。世の中には生きにくい人もたくさんいるだろうし。その中で、悲しいことにフォーカスを当てて人生のワンシーンを描いたという感じですね。それで、それは人間が引き起こしたものではなくて、地球のせいなんじゃないかという。
--よく分かりました。ちなみに、自分が体験したこと以外のエピソードについてはどんなふうに作っていったんですか?
MAMORU 映画やドラマ、ドキュメンタリー番組とかですね。その中で自分が思っていることとリンクした部分をメモに書き残して。そこから広げていく感じですね。
--世の中の悲しい出来事をある種ジャーナリスティックに描写したり、その中でも連帯意識をもって頑張って生きていこうと歌うところは、やはり札幌のSLANGやOi!/スキンズ系のバンド、あるいはブルー・ハーブにも通じると思いました。その中で独自性も見出そうとしているというか。
MAMORU そうだと思います。やっぱり札幌の上の世代にはかなり影響を受けたので。自分の表現の一つとしてうまく取り入れたいというのは思っていますね。
--その中で、自分らしさということに関してはMAMORUさん自身、どのようにお考えですか?
MAMORU それがですね、オレ、自分らしさというものが分からないんですよね。ちょっと変な話なんですけど、音楽に携わっているMAMORUと、一般生活を営んでいるスズキマモル、どっちが本当の自分なのかが分からなくて。もう、病院に行った方がいいんじゃないかと思うくらい。周りからは「考えすぎだ」って言われるんですけど。
KENTA MAMORUさんは繊細なんですよ。人の痛みをすごく分かる人というか。すごく人のことを考えていますね。そして自分が思っていることをうまく伝えられないんですよ。いい意味で不器用なのかなって思いますね。
IAN MAMORUくんは自分のこと以上に他人のことを分かっているところがあって。例えばぼくが悩んでいるときとか、「IANはこうだからこうなるんじゃない?」って言ってくれたり。人一倍、人のことを見ているし、世の中を見ていて。そしてそれを受け入れる心をもっているというか。
KENTA 外見とのギャップがある(笑)。
IAN すごく優しいんですよ。だからメンバー以外にもMAMORUくんを慕っている人は多いです。
MAMORU 自分のことは後回しにするところがあるのかもしれないですね。だからなんか、もう一つ地球があったらいいなと思いますね(笑)。余計なことを考えなくてもいい地球。オレは人のこととかを考え過ぎて、もうワンステップ進めないところがあるから。どうしてなんでしょうね。もう、そこらを歩いている人がどんなことを考えながら歩いているのか、これまでどんな人生を歩んできたのか、とかけっこう考えちゃうんで。その人の人生観を勝手に想像しちゃう。
--それは歌詞を書く上での一つの才能かもしれないですね。
MAMORU そうだったらうれしいですね。よくやるのは、街の交差点の真ん中に立って、周りを歩いている人を眺めるんですよ。そうすると、普段は気に留めないようなことも見えたりするんですよね。